日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
小児リウマチ性疾患におけるTNF阻害薬
脇口 宏之
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2024 年 38 巻 2 号 p. 211-217

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抄録

小児リウマチ性疾患の代表である若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)や川崎病(Kawasaki disease:KD)において,メトトレキサートや免疫グロブリンといったアンカードラッグに不応な症例が存在する.腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)阻害薬の登場により,これらの難治性症例が治療できるようになった.日本では2009年に初めて小児にTNF阻害薬が使用可能となり,現在では完全ヒト型可溶性TNFα/TNFβ受容体であるエタネルセプト(etanercept:ETN),ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるアダリムマブ(adalimumab:ADA),抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブの3剤が用いられる.メトトレキサートに不応な多関節に活動性を有するJIAにおいて,ETNは0.2~0.4 mg/kgを週2回で皮下注射し,ADAは20 mgまたは40 mgを2週に1回で皮下注射する.関節炎に対する有効性はETNとADAとは同等とされているが,今後臨床研究が進み層別化治療ができるようになることが望まれる.ぶどう膜炎に対する有効性はADAのほうが高い.免疫グロブリン静脈内注射に不応な川崎病において,インフリキシマブは,5 mg/kgを単回で点滴静脈内注射する.その投与は2nd lineから可能であるが,3rd lineの使用に習熟した専門施設で行う.

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