日本小児アレルギー学会誌
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原著
鳥居スクラッチエキス卵白,卵黄,牛乳抗原液の含有タンパク質の検討
松井 照明岩脇 由希子内藤 宙大和泉 秀彦高里 良宏伊藤 浩明
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2024 年 38 巻 3 号 p. 267-273

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抄録

【背景】本邦では,皮膚プリックテストの標準試薬として鳥居薬品のアレルゲンスクラッチエキス「トリイ」 {scratch extract(SE)}が利用されているが,その含有タンパク質の内容は明らかでない.

【方法】卵白・卵黄・牛乳のSE,及び生卵白・生卵黄・牛乳を用いて,SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE),及びイムノブロットを行った.

【結果】各SEに含まれるタンパク質量は,各食品のタンパク量よりも少なかった.SDS-PAGEにおいて,卵白SEは生卵白と同等のバンドを認め,イムノブロットで十分量のovalbumin(OVA),ovomucoid(OVM)の存在が確認された.卵黄SEからは微量のOVAとOVMが検出された.牛乳SEはカゼインが少なく,主にα-lactalbumin,β-lactoglobulinが含まれていた.

【結論】卵黄SEは卵白成分を微量に含有していた.牛乳SEは主に乳清成分で構成されていた.

各スクラッチエキス(SE)と食品そのもののタンパク質の組成を検討した。その結果、卵黄SEは、オボアルブミンやオボムコイドの混入を多く認め、牛乳SEはカゼインが少なく乳清が多かった。皮膚プリックテストの結果は、この点を念頭において解釈することが必要である。 Fullsize Image
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