日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
B細胞標的薬 抗BLyS抗体(べリムマブ)
大倉 有加
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2024 年 38 巻 3 号 p. 301-305

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抄録

ヒト型モノクローナル抗BLyS抗体であるべリムマブは,全身性エリテマトーデス(SLE)に対して保険適用承認された最初の生物学的製剤である.SLE患者の血清中の可溶性BLyS濃度はコントロールと比べて高く,SLEの疾患活動性との間に相関があることが知られており,べリムマブは可溶性BLySの作用を抑制することで,体内の自己応答性B細胞の生存を抑制し,自己抗体産生の低下およびSLEの疾患活動性を改善する.本邦ではグルココルチコイド(GC),免疫抑制薬などによる治療を行っても疾患活動性を有する場合,既存治療薬に併用して用いるとされている.本邦では重症のループス腎炎を有するSLE患者に対する有効性は検討されていないが,海外では活動性ループス腎炎に対する寛解導入及び維持療法において,既存治療にベリムマブを追加投与することによる上乗せ効果は示されている.ベリムマブはSLEの管理においてGCの減量・中止をアウトカムとする治療戦略において有用な薬剤であり,今後適切な導入タイミングの検討が求められる.

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© 2024 日本小児アレルギー学会
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