2025 年 39 巻 3 号 p. 222-227
乳幼児はその解剖学的・生理学的特性によって3歳までに全体の30~50%が喘鳴をきたすが,その約半数は学童期までに軽快する.一方,学童期以降に喘息と診断された者の多くは3歳までに発症するとされ,乳幼児期は小児喘息の予後を考える上で極めて重要な時期と言える.しかし,乳幼児では呼吸機能や生検等による客観的な指標を得ることは容易ではなく,年長児以降の喘息に比して診断や治療において難渋することが多い.本総説では,乳幼児喘息への対応における未解決な点について,いくつかのクリニカルクエスチョンを設け,特にその病態に基づくアプローチについて最近の知見を交えて概説する.