抄録
気管支喘息は慢性の気道炎症が関与すると考えられており, 小児科領域でもBDP療法が導入され, 効果を上げている. 一般にステロイド吸入は, 内服に比して副作用は少ないとされるが, 成長発達の途上にある小児にとって, ステロイド剤の及ぼす影響は重視されるべきである. そこで我々は, 当科にてBDP療法中の16名 (男子11名女子5名, 年齢: 12.7±2.8歳 [mean±SD], 吸入期間: 648.1±206.0日, 吸入量: 12.1±5.4μg/kg/day) で, コルチゾール日内変動, 尿中17-OHCS測定, rapid ACTH 試験による副腎皮質機能の検討をBDP導入前後に行った. その結果, コルチゾール日内変動, rapid ACTH 試験でのコルチゾール及び11-OHCSの最大増加量, 最大増加率, コルチゾールの上昇勾配率の比較で, それぞれBDP導入後に副腎皮質機能が抑制されている可能性が示唆された. 小児におけるBDP療法の導入は適応を十分考慮し, 施行中には継続的な副腎皮質機能検査が必要であると考えられた.