抄録
経口抗アレルギー剤 (抗ア剤) の実験的有効濃度と常用量投与時の生体内の血中濃度には乖離があり, その有効性に関する国際的な評価は定まっていない. しかも薬剤の代謝動態に個人差が大きい小児の抗ア剤の体内動態は殆ど検討されていない. 抗ア剤をより有効に使用するには有効濃度を考慮した体内動態の検討が必要と思われる. 有効濃度と常用量投与時の血中濃度の乖離が比較的小さいペミロラストカリウム (TBX) の気管支喘息小児における常用量投与時の血中濃度をHPLC法によって測定した. また最低濃度を算出し得た症例では喘息点数を用いた臨床効果との関係を検討した. 内服5時間以内のTBX濃度は全て有効濃度 (0.266μg/ml) 以上で採血時喘息症状は無かった. 内服5~10時間に採血時喘息症状を有した症例のTBX濃度は全て有効濃度以下 (0.137~0.233) であった. TBXの最低濃度はTBX投与中に喘息点数の減った有効例で0.16以上, 喘息点数の減らない無効例で0.11以下と低かった. 最低濃度の低い症例では最低濃度を有効濃度に近づけるべく常用量の増量が有効と思われた.