1900年代終わりに至り, 気管支喘息の病態解明は急速に進展した. 気道炎症を中心に据えた治療戦略がたてられ, それに基づく治療・管理ガイドラインが作成され, 喘息の改善, 予防の効果的手段として普及しつつある. しかしながら, 乳幼児期の喘鳴疾患に関する診断は, 未だ明快さを欠いており, eary intervention の観点からは不都合と思われる. また, 治療ガイドラインに従った薬物治療を行うには, 発作程度と重症度の的確な判断が必要であるが, これらの客観的な判断に関する臨床研究について, 乳幼児においては画期的な知見に乏しい. ガイドラインを有効に活用するにも, 治療評価を行う上にも, 客観的指標の研究が不可欠である. これらのことにつき, 1900年代後半に私が経験した喘息の診断と治療の変遷を紹介して, 必要性を述べた.