日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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14 巻, 1 号
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  • 西牟田 敏之
    2000 年 14 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1900年代終わりに至り, 気管支喘息の病態解明は急速に進展した. 気道炎症を中心に据えた治療戦略がたてられ, それに基づく治療・管理ガイドラインが作成され, 喘息の改善, 予防の効果的手段として普及しつつある. しかしながら, 乳幼児期の喘鳴疾患に関する診断は, 未だ明快さを欠いており, eary intervention の観点からは不都合と思われる. また, 治療ガイドラインに従った薬物治療を行うには, 発作程度と重症度の的確な判断が必要であるが, これらの客観的な判断に関する臨床研究について, 乳幼児においては画期的な知見に乏しい. ガイドラインを有効に活用するにも, 治療評価を行う上にも, 客観的指標の研究が不可欠である. これらのことにつき, 1900年代後半に私が経験した喘息の診断と治療の変遷を紹介して, 必要性を述べた.
  • 飯倉 洋治, 豊島 協一郎
    2000 年 14 巻 1 号 p. 17
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 海老澤 元宏
    2000 年 14 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ステロイドは炎症性疾患に非常に有効な薬物であり多くの疾患に用いられている. しかし全身的投与によると多岐にわたる副作用が認められ, アレルギー性疾患の治療においては副作用を最小限にし最大の効果を得るために局所投与剤が開発され用いられるようになってきている. この総説では現在のステロイドの作用機序に対する考え方とアレルギー性疾患, 特に喘息における作用機序に関し考えてみたい.
  • 勝沼 俊雄, 赤澤 晃, 坂口 直哉
    2000 年 14 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • コンプライアンスを主として
    井上 寿茂
    2000 年 14 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 乳幼児への適応を中心として
    宮林 容子
    2000 年 14 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 藤多 和信, 上野 幸三, 飯倉 洋治
    2000 年 14 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    (目的) 近年, 吸入β2刺激剤の過剰投与と喘息死との関連が問題になっている. そこで, 卵白アルブミン (OVA) で感作した喘息モデルモルモットを用いてβ2刺激剤の過剰投与が気道過敏性に及ぼす影響について, アセチルコリンに対する気道反応性を測定する方法を用いて検討した. さらに, 吸入ステロイド剤を併用した場合の気道の過敏性を検討した.
    (方法) 雄3週齢ハートレー系モルモットにOVA 1μgを腹腔内投与後14日目, 21日目にOVA (10mg/ml) をネブライザーにて12分間吸入暴露させ, 能動感作を成立させた. 第28日目, OVA吸入前にアセチルコリンによる気道過敏性テストを行った. 28日目から32日目までと35日目から39日目まで連日OVA (20mg/ml) による抗原の吸入負荷を5分間行った. またこの抗原負荷期間中にフェノテロール0.6mg/日あるいは3mg/日, ベクロメサゾン0.45mg/日, 吸入を1日3回に分け行った. 第40日目, OVA吸入30分後にアセチルコリンによる気道過敏性テストを行った後, 組織を摘出した.
    (結果) フェノテロール3mg/日あるいは0.6mg/日投与群では2週間の抗原負荷後で負荷前に比べ気道過敏性が有意に亢進していた. この気道過敏性の亢進は非投与群, あるいはフェノテロールとベクロメサゾン0.45mg/日併用群では認められなかった. 以上よりフェノテロールの過剰投与は気道過敏性の亢進を導くが, これはベクロメサゾンを併用することで防ぐことができると考えられる. 同様の傾向がプロカテロール投与群, 非投与群の間でもみられたが統計的に有意差は得られなかった. 肺β2受容体量はフェノテロール投与群で非投与群に比べ減少傾向が見られものの, 有意に差はなく, 受容体量以外の因子がフェノテロールによる気道過敏性の亢進に関与していると考えられる.
    (結語)
    OVAで感作した喘息モデルモルモットに対する吸入β2刺激の過剰投与は気道過敏性を亢進させるが, 吸入ステロイドを併用することで気道過敏性の亢進を防ぐことができる.
  • 森川 昭廣, 河野 陽一
    2000 年 14 巻 1 号 p. 49
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 近藤 直実, 松井 永子, 金子 英雄, 鹿野 博明, 伊上 良輔, 深尾 敏幸, 寺本 貴英, 加藤 善一郎, 寺田 知新, 渡辺 みづほ ...
    2000 年 14 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 青柳 正彦, 渡辺 博子, 関根 邦夫, 西牟田 敏之, 勝木 利行, 館野 規子, 下条 直樹, 河野 陽一
    2000 年 14 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 重田 誠, 森川 昭廣
    2000 年 14 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 勝沼 俊雄, 赤澤 晃, 秋本 憲一, 飯倉 洋治
    2000 年 14 巻 1 号 p. 70-72
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • アトピー性皮膚炎から大管支喘息へ
    大嶋 勇成, 山田 彰子, 眞弓 光文
    2000 年 14 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 柴田 瑠美子
    2000 年 14 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 松井 猛彦, 真弓 光文
    2000 年 14 巻 1 号 p. 82
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 下条 直樹
    2000 年 14 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 長期予後成績から
    関根 邦夫, 青柳 正彦, 渡辺 博子, 西牟田 敏之
    2000 年 14 巻 1 号 p. 87-94
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1986年~1989年に下志津病院小児科を初診した喘息児261名の予後につき新しい小児喘息予後判定基準に従って検討した. また1978年~1982年に初診し, 寛解または無症状と回答した喘息児85名につき初診後17年~21年経過した段階での再発率を検討し, 以下の結果を得た. 1) 予後成績は臨床的治癒65名 (24.9%), 寛解1~4年50名 (19.2%), 無症状17名 (6.5%), 軽快95名 (36.4%), 不変22名 (8.4%), 悪化3名 (1.6%), 再発7名 (2.7%), 死亡1名 (0.4%) であった. 2) 治癒・寛解に影響する因子としては初診時重症度が最も大きく, 初診時軽症群に比べ初診時中等症群, 初診時重症群でより予後が悪かった. 3) 初診時治療はテオフィリンRTC療法と抗アレルギー薬が主体であり, その後経過によりBDPなどの吸入療法が追加されたが寛解率の増加にはあまり影響しなかった. 5) 1978年~1982年の予後調査で寛解に至った者の内, 現在喘息症状が再発したのは6名 (7.4%) であった. 性別では男性の再発率が3.6%, 女性で16.7%であり女性で再発率が高かった.
  • 望月 博之, 森川 昭廣
    2000 年 14 巻 1 号 p. 95-104
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    思春期の喘息患者に治癒傾向が認められることは知られているが, そのメカニズムについては不明な点が多い. 今回, これまでの報告を中心に, 小児期の気道過敏性の特性を踏まえて, 思春期の寛解についての考察を行った.
    小児の気道過敏性の特徴のひとつとして加齢による影響が報告されているが, 報告の多くは年齢とともに気道過敏性が軽減するというものである. このことから, 思春期における気道過敏性の軽減が, この時期の喘息の治癒傾向に影響を与えることが推測できる. しかしながら思春期においても, 喘息患者では健常児例と比較し気道過敏性は有意に亢進しており, 喘息症状と気道過敏性が解離する傾向にあると思われる.
    一方, 長期的な観察から, 乳幼児期のメサコリン吸入試験の程度とその後の喘息の重症度とは関連がみられ, また初回の検査結果と思春期以降に行った2回目の結果の間にも有意な相関性がみられている. さらにメサコリン吸入試験の初回の検査結果と, 思春期以降に行った2回目の個々人の結果の比較では, 寛解の群では気道過敏性は若干の改善傾向がみられるが非寛解群では不変であることから, 気道過敏性は経年的な変化を示す一方, 個々の患者での各年齢におけるメサコリン吸入閾値の程度には大きな変化はみられないことが推測された.
    思春期の寛解のメカニズムとして, この時期の気道過敏性の軽減による影響が考えられるが, 思春期には喘息症状と気道過敏性が解離する傾向にあること, また乳幼児期から思春期まで気道過敏性の重症度に普遍性が認められることなどは, 今後とも議論されるべき点と思われる. 思春期の喘息患者における寛解のメカニズムを検討することは喘息の治療を行う上でも重要であるため, この分野でのさらなる研究が期待される.
  • 土居 悟
    2000 年 14 巻 1 号 p. 105-107
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 成人喘息の立場から: 肺病理を中心に
    高橋 清, 岡田 千春, 村尾 正治, 井上 拓也, 松本 寛, 呉 峰, 高尾 和志, 武田 明子, 堀場 昌英, 木村 五郎, 谷本 安 ...
    2000 年 14 巻 1 号 p. 108-120
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 野間 剛, 吉沢 いづみ, 菅原 陽子, 石川 義人, 佐伯 敏亮, 川野 豊, 松浦 信夫, 山口 公一, 青木 国輝, 向山 徳子, 馬 ...
    2000 年 14 巻 1 号 p. 121-131
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 琴寄 剛, 高橋 由利子, 横田 俊平, 相原 雄幸
    2000 年 14 巻 1 号 p. 132-140
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    近年, in vitro の新しい抗原検索法として, 臨床においても使用されてきた, ヒスタミン遊離試験 (HRT) の有用性について検討を行った. 小児アレルギー疾患患児のべ280名に対し, HRTおよび抗原特異的IgE抗体 (RAST) を測定し, HRTとRASTとの比較を中心とした検討を行った. RASTと比較してHRTの陽性率は低い傾向があり, また抗原による差を認めた. 特に, ダニや卵白では低年齢層で有意にHRTの陽性率が低く, カットオフ値の基準を再検討する必要性が示唆された. しかし, アレルギー疾患に対する使用薬剤数が多く, 多くのアレルギー性疾患を合併している群ほど, HRTの陽性率が高い傾向を認めており, HRTの結果が重症度を反映している可能性が示唆された.
  • 南部 光彦, 新宅 教顕
    2000 年 14 巻 1 号 p. 141-146
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    臍帯血及び乳児血の卵白・牛乳特異的IgE抗体価と乳児期のアトピー性皮膚炎発症との関係について検討した. 10か月時の卵白IgE値が0.35UA/ml以上の者は, 臍帯血卵白IgE値が0.07IU/ml未満であった28人中6人 (21%) に対し, 臍帯血卵白IgE値が0.07IU/ml以上であった23人中には14人 (61%) と有意に多くみられた (p=0.0098). また, 10か月時にアトピー性皮膚炎を発症した者は, 臍帯血卵白IgE値が0.07IU/ml未満であった28人中2人 (7%) に対し, 臍帯血卵白IgE値が0.07IU/ml以上であった23人中には9人 (39%) と有意に多くみられた (p=0.015). 一方, 臍帯血牛乳IgE値が0.07IU/ml以上の23人中, 10か月時にも牛乳IgE値が0.35UA/ml以上であったのは1人だけであった. 臍帯血牛乳IgE値と10か月時のアトピー性皮膚炎の発症との間にも有意な関連はみられなかった. 臍帯血卵白特異的IgE抗体価は, 生後10か月時における卵白特異的IgE抗体価及びアトピー性皮膚炎発症の予知因子となりうる可能性が示唆された.
  • 臼井 弘人, 小田嶋 安平, 高村 まゆみ, 岩田 富士彦, 原 光彦, 橋本 光司, 伊東 三吾, 原田 研介
    2000 年 14 巻 1 号 p. 147-154
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    現在までRSウイルスによる気道感染が気管支喘息を発症さる因子となりうるか, また吸入抗原や食物抗原に対するIgE抗体産生を亢進させるかについて一定の結論を得ていない. 今回我々はこれらを明らかにする目的で, RSウイルスの感染を反復して受けた児を対象として臨床的に検討した.
    1. 喘鳴を伴った呼吸障害にて入院となった454症例に鼻汁中RSウイルス抗原を検索し, 166例が陽性となり (36.5%), それらの中で11.4%の19例に反復感染を認めた.
    2. 初回RSウイルス感染診断前から3回以上の呼吸困難を伴った呼気性喘鳴のエピソードがあり, このためすでに気管支喘息と診断されている症例が19例中13例であり (喘息群), 初回RSウイルス感染診断時が初めての呼気性喘鳴であった児が19例中6例であった (初回喘鳴群). これらのうち, 喘息群は全例2回目のRSウイルス感染診断後に重症化し, 初回喘鳴群は初回RSウイルス感染診断後に全例, 前記の基準で気管支喘息を発症した.
    3. 初回RSウイルス感染診断時 (平均21.5ヶ月), 2回目のRSウイルス感染診断時 (平均31.1ヶ月) であり, その期間は平均9.6ヶ月であった. 初回RSウイルス感染診断時に低酸素を伴う呼吸困難 (SpO2<90) を呈した児は19例中6例であり, 2回目のRSウイルス感染診断時には19例中4例で, 2回目のRSウイルス感染診断時には必ずしも軽症化しなかった.
    4. IgEの産生について: 初回RSウイルス感染診断時に喘息と診断されていた群では, 反復感染後に吸入抗原, 食物抗原が陽性化したのは13例中2例のみで, 一方初回喘鳴群では6例中1例で食物抗原のみが陽性化した.
    以上より, RSウイルスの反復感染例でみると, RSウイルスは気管支喘息の発症や重症化に影響を与えると示唆されるが, IgEの産生には影響を与えにくいと推測された.
  • 本村 知華子, 加野 草平, 小田嶋 博, 西間 三馨
    2000 年 14 巻 1 号 p. 155-160
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    最近12年間に喘息発作入院で無気肺合併した患者は339例 (3.2%) であった. 喘息発作時の無気肺は男性2.6%に対し, 女性4.1%と女性に多く, 4~6歳で7.2%と0~3歳3.2%, 7歳以上2.1%より高率であった. 無気肺の部位は右中葉が68.8%, 左上葉13.5% (舌区11.8%を含む), 右上葉11.2%であった. 喘息発作時の無気肺症例は42.4%を反復例が占め, 肺炎群の12.5%に比べ高率であった. 消失までに1年以上かかった慢性例は4例であった.
    喘息発作程度が強い大発作時には無気肺は気道感染が関与することなく認められ, 無気肺の期間は短く反復例が多くなる傾向があった. 喘息発作程度が軽くなると気道感染の関与が強くなり, 無気肺の期間は長くなっていた.
    また無気肺を契機に気管支喘息の診断を受けた例が21例あり診断の契機としても重要であると考えられた.
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