抄録
アレルギー疾患の増悪因子として重要な, 室内塵中のヒョウヒダニアレルゲンを半定量できる簡易キットとして新しく開発されたアクロテストの有用性を従来のELISA法と比較検討した. 29家庭において家庭用電気掃除機の紙パック内に集積した塵のダニアレルゲン濃度をアクロテストとELISA法によるDer Iを測定して比較した. アクロテストの再現性, 検体量, 反応温度の影響を検討した. アクロテストの判定値を5段階の Aclograde に, ELISA法でのDer Iを5段階のELISA class にスコア化すると, 相関係数0.602 (p<0.0001) で有意な相関がみられた. 再現性も比較的安定し, 温度, 量による影響も受けにくかった. 1回の測定に必要な塵の量が多いという問題点はあるものの, 特殊な設備を必要とせず, 簡便に行える利点があり, 患者が各家庭で簡便にダニアレルゲンのスクリーニングを行うのに有用な検査方法と思われる.