日本小児アレルギー学会誌
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小児気管支喘息における頻回入院例の臨床的検討
小澤 武司森本 将敬折居 恒治伊藤 玲子中嶋 義記近藤 富雄
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2000 年 14 巻 4 号 p. 472-477

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抄録
気管支喘息で入院を繰り返す患者の原因を知る目的で, 臨床経過と患者家族へのアンケート調査を検討した. 対象は1996~1997年の2年間に気管支喘息で入院した延べ288例のうち, 入退院を3回以上繰り返した21例を頻回入院例とした. 性別は男児14例, 女児7例, 年齢は3~12歳 (平均5歳9か月) であった, アンケート調査の結果, 家庭環境や家庭での発作時の対処方法などの指導が必要と思われた. 臨床経過を検討すると, この2年間に入院を繰り返したがその前後には入院歴のない群 (第1群; 6例), この2年以前から入院歴があるが次の1年では入院していない群 (第2群; 7例), 前の1年には入院歴がないがその後入院を繰り返している群 (第3群; 4例), この2年の前後とも入院を繰り返している群 (第4群; 4例) に分けられた. 入院回数が変わらない第3, 4群には治療のステップアップができていないものがみられた. この原因には医療側と患者側で重症度の認識の違いがあることが考えられた. 頻回入院例を減らすためには, 医療側と患者側の正確な重症度の評価と適切な治療のステップアップが必要と思われた.
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