抄録
気管支喘息における気道の慢性炎症が, 気道過敏性にどの程度関与し、どのように病態を形成しているかは, まだ明らかではない。
気道炎症の指標の一つに、呼気中NOがあり、今までの報告では、誘発喀痰の好酸球、喀痰中ECPなどの相関があり、気道炎症マーカーとしての有用性がいわれている。この点から、気道炎症と気道過敏性の関連を検討することは興味深い。喘息児においても健康児にくらべ有意に高く、ステロイドの投与により低下することが報告され、気道炎症の目安として小児において有用と考えられる。呼気中NOと気道過敏性との関連に関しては、報告例も散見される程度で、一定の見解が得られていない。我々の検討では、吸入ステロイドを用いていない群で標準法を用いた気道過敏性と負の相関がみられた。さらに、自転車エルゴメーターによる運動負荷試験では、FEV1.0最大低下率と正の相関がみられた。その点から呼気中NOからみると小児においても気道炎症と気道過敏性の関連の可能性は考えられるが、さらに臨床検討を積み重ねる必要性がある。