抄録
過去5年間に食物アレルギーのために当科救急外来を受診した, 93人, のべ103例に対して臨床的検討を行った.
受診例は年々増加傾向にあり, 季節別では冬に少なかった. 受診者の年齢は, 平均年齢は3.7歳で乳幼児が全体の約80%を占めた. 発症までの時間は, 摂取後30~60分が最も多く全体の約50%を占めていた. アナフィラキシー症例についても同様で, 発症後60分以上の経過観察が必要と思われた.
出現症状は蕁麻疹がほぼ100%であり, 呼吸器症状を35.9%に, 消化器症状を24.3%に認めた. 原因食物は, 卵がアナフィラキシー症例も含めて最も多く, 次に小麦, イクラ, そばの順で多かった.
治療に関してはアナフィラキシー症例におけるエピネフリンの使用は6例のみであり, より積極的な使用が必要と考えられた.