日本小児アレルギー学会誌
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食物アレルギーに対する現在の対応
食物負荷試験・口腔アレルギー症候群・将来の治療の展望
海老澤 元宏池松 かおり杉井 京子池田 有希子田知本 寛
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2004 年 18 巻 1 号 p. 68-74

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抄録

小児期の食物アレルギーの発症は乳児期にアトピー性皮膚炎を伴ったパターンが最も多い. 詳しい病歴・血液検査・皮膚テスト・食物除去試験・食物負荷試験・食物日記による観察で診断がつけられることが多いが, その後のフォローにおいて食物負荷試験は必須である. 入院管理での食物負荷試験は, 多抗原感作陽性症例や過去に強い即時型反応の既往がある就園・就学前の幼児・学童を対象として適応になる. 現在の食物アレルギーの治療は原因となる食物の除去が唯一の方法であり正確な診断が要求される. 年長児で除去が長期にわたり心因の関与が疑われる例, オープン負荷試験で主観的症状のみ陽性の場合では負荷試験を被験者・検者の主観を入れずに客観的に行うことが必要であり, Double-Blind Placebo-Controlled Food Challenge (DBPCFC) が適応となる. 食物除去を最低限にとどめることにより患児および保護者の生活の質を保つことは重要であり, 患児および保護者のストレスの軽減に努めるべきである. また, 最近の小児の食物アレルギー患者においてキウィ・トマト・メロンなどによる口腔アレルギー症候群が増加しており, 必ずしも花粉症を伴わないケースの増加が目立っている.

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