抄録
小児気管支喘息のDSCG定期吸入療法において, 吸入β刺激薬の発作時使用 (屯用群) と定期使用 (定期群) の有用性を比較するために, DSCG吸入療法を導入された喘息児を無作為に2群に分け, 56週間前方視的に経過観察した. 対象は, 途中吸入ステロイド薬を導入された4人を含む脱落者8人を除いて, 最終的には屯用群13人, 定期群9人であった.
β刺激薬の屯用での吸入回数は, 平均で屯用群190回, 定期群40回であったが, 吸入β刺激薬の使用総量は定期群87.8ml, 屯用群は29.9mlであった. 一方, 咳嗽日数は屯用群92.1日, 定期群49.6日と屯用群に多かったが, 発作点数は両群間に差はなかった. Dp-IgE値が低下したのは, 屯用群5人/12人, 定期群1人/8人であり, 有意差はなかった. 気道過敏性試験は屯用群3人, 定期群1人に施行したが, 両群に差はなかった.
屯用群では吸入β刺激薬の使用総量は少なかったが, 咳嗽日数が多かった. 喘息発作点数に差はなかった. 今回の検討では, DSCG吸入療法におけるβ刺激薬の発作時使用の有用性は明らかではなかった.