2004 年 18 巻 3 号 p. 270-278
本邦での小児喘息治療における吸入抗コリン薬の位置付けを明らかにする目的で, その使用状況に関する実態調査を行なった. 即ち, 日本アレルギー学会認定医の資格をもつ小児科医に質問表を送付し, 297名から回答を得た. このうち, 抗コリン薬の使用経験のある196名の回答を解析した. 抗コリン薬が有効な症例の頻度は,“しばしばあり”15%,“ときにあり”47%,“まれにあり”29%,“なし”10%であった. 有効例の年齢は, 小, 中学生との回答が多く, 乳幼児は少なかった. 抗コリン薬が有効な発作の誘因として, 冷気吸入, 天候の変化, 運動などが多く, 改善した症状としては, 咳嗽, 喘息発作が多かった. コントローラー, あるいはレリーバーとしての必要性は,“必要”が順に25%, 26%,“不必要”が順に20%, 27%,“どちらともいえない”が順に55%, 47%であった. 抗コリン薬液剤については約半数が“使ってみたい”と回答した. 抗コリン薬液剤は本邦では使用できないが, このことが乳幼児喘息に対する抗コリン薬の評価が低い理由の1つになっているのかもしれない.