日本小児アレルギー学会誌
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Allergy march に対する ketotifen の臨床効果
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キーワード: 小児気管支喘息
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1988 年 2 巻 1 号 p. 41-48

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抄録
アトピー素因を有する小児に, Atopic Dermatitis (AD), Asthma (BA), Allergic Rhinitis (AR) 等のアレルギー疾患がつぎつぎに発現することを Allergy march という. 生後6ヶ月から15歳までのこれらアレルギー疾患を合併する患児124例 (BA+AR+AD 58例), (BA+AR 32例), (BA+AD 34例) に ketotifen を12週間投与した.
総合的最終全般改善度は, 著明改善12.9%, 中等度改善47.6%, 軽度改善30.6%, 不変8.9%, 悪化0と, 91.1%に改善を示した. また, 喘息の発作点数鼻アレルギーの重症度, およびアトピー性皮膚炎の重症度のいずれも ketotifen 投与前に比しP<0.001の有意差をもって改善した。また, くしゃみ, 〓痒等の症状についても, P<0.05, P<0.001の有意差で改善した. 即ち, 広範な薬理作用を有する ketotifen は, Allergy march の進行をも抑え得る可能性が期待できると考えられた.
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