日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
2 巻, 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 近藤 知己, 赤沢 晃, 岩原 順子, 三輪 文代, 小田島 安平, 飯倉 洋治, 荒川 とよ子
    1988 年 2 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎患者212名を対象とし, 抗原特異IgG抗体の意義について考える目的で, 鼻汁スメア中の細胞と抗原特異IgG, IgE抗体との関係を見てみた. その結果, 鼻汁好酸球と特異IgE抗休, 特異IgG抗体とは正の相関がみられた. 鼻汁 mast cell と特異IgE抗体は正の相関がみられたが, 特異IgG抗休とは相関はみられなかった. 鼻汁好中球については, 鼻汁好酸球と正の相関がみられた. また, 鼻にダニ抗原の負荷テストを行ったところ, 血清中の特異IgG抗体が陽性のものが鼻汁ヒスタミンが高く, また, 鼻汁スメア中に好中球が多いものは好中球がでていないものに較べて, 鼻汁中NCFが高くなる傾向が得られた. 以上のように鼻アレルギーでは好中球とこれより放出される化学伝達物質, 好酸球と抗原特異IgG抗体, Mast cell と抗原特異IgE抗体, 好塩基球その他が複雑に絡み合って, 複雑な病像を呈するものと考える.
  • 溝尻 素子, 真田 幸昭
    1988 年 2 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    国立療養所兵庫中央病院に長期入院中の気管支喘息児15名に副流煙のみでCO7~8ppm, 30分間の受動喫煙負荷を行った.
    負荷前及び負荷6時間後まで Flow-volume Curve, FRC, TGV, Raw, SGawを測定し, また, 負荷2時間後までのCO-Hbも測定した.
    CO-Hbは0.21%上昇し, 負荷中止2時間後も高値を示した。
    Flow-volume 系には有意の差がなかったが, FRC, TGVの低下, Rawの上昇, SGawの低下が見られた.
    特に負荷6時間後もRawの上昇, SGawの低下傾向が持続した.
    タバコ煙に対するアレルゲンテストが陰性であり, これらの受動喫煙による変化はアレルギー機序よりもタバコ煙のもつ易刺激性が非特異的刺激として, 気道過敏性を介して発作誘発をもたらすと推測される.
  • 小田島 安平, 赤沢 晃, 近藤 知己, 飯倉 洋治, 水内 秀次
    1988 年 2 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    気管支喘息発作の治療にアミノフィリンの点滴静注が広く行われている. そして気管支喘息時には発作強度により血液のpHは大きく変化することが特徴の1つであり, テオフィリンはpHにより蛋白結合率を変えることが知られている. そこで実際の気管支喘息発作時にアミノフィリンの点滴瀞注前後で静脈血pHおよび血漿中テオフィリンとフリーテオフィリンの測定を行い比較検討した.
    1. フリーテオフィリンと total テオフィリンは有意の正の相関を認めた (r=0.966, P<0.001).
    2. 点滴前後でpHは7.337から7.477まで分布しているが, この程度のpHの変化では, pHとテオフィリンの蛋白結合率の間に何等の相関を認めなかった.
    3. % free theophylline は total テオフィリン血中濃度と有意の正の相関を示し, % free theophylline は total の血中濃度が大きくなるほど大きくなった (r=0.351, P<0.01).
    4. 年齢による% free theophylline を検討したが, 1~5才の6名では40.4±4.1%, 6~11才の12名では33.1±3.9%, 12才以上の7名では31.1±17.7%であった. 年齢が上がるにつれて, % free theophylline は下がる傾向があったが, 有意な結果ではなかった.
  • 国富 泰二, 池田 政憲, 小谷 信行, 立花 敬子, 濃野 信, 森田 英雄, 倉繁 隆信
    1988 年 2 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    RTC療法中の10例の喘息児を対象として, 非発作時と発作時のテオフィリン血中濃度を比較検討した.
    1) 非発作時の平均血中濃度 (日内変動) はいずれの時間帯でも10μg/ml以上に保たれていたが, 発作時には午前8時の服薬後2時間以内と服薬後9~10時間で有意に (P<0.05) 低下し, 午後8時の服薬後1~6時閲でも低下の傾向がみられた. いずれの時間帯の血中濃度も5~9μg/mlであった.
    2) 中~大発作で救急受診した患児の28例中20例 (71%) は1日の内で血中濃度が最低値となる服薬前後の時間帯にみられた.
    以上の結果より10μg/ml以上の血中濃度を保っているにもかかわらず, RTC中の喘息児が発作を起こす場合には, 発作時の血中濃度を測定する必要があると考えられた。
  • 小幡 俊彦, 正木 拓朗, 飯倉 洋治, 宮坂 勝之
    1988 年 2 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    軽量で操作が簡単かつ電源が乾電池である呼吸機能検査装置, WINDMILL®(KINETICS MEASUREMENT CORP., TUXEDO, N. Y.) は努力性肺活量 (FVC) と一秒量 (FEV1) を同時に測定できるため, この装置を用いて, 気管支喘息患者を対象に現在, 臨床の分野でも広く使用されている hot wire 式の autospirometer (AS-1500, ミナト医科製) と比較検討した. 23歳から33歳の健常成人15名による検討ではWINDMILL®による測定値は autospirometer に比べて低値をとる傾向にあったが, 男性のFVC (r=0.60) を除いて高い相関関係にあった. 6歳から22歳までの喘息患者34名での検討でも同様の傾向にあったが, 相関係数は高かった. しかしFEV1に比べてFVCの方が相関係数が低く, 特にFVCが2.0L以下ではr=0.12と低くなり, 問題点と考えられた. しかし, 個人間での再現性は良く, 測定対象を実際に努力性呼出が可能となる小学校中学年以上に限れば十分に使用でき, その簡便さやFVCとFEV1が同時に測定でき詳しい情報が得られるなどから考えて, 外来やベッドサイドでの呼吸機能検査装置として硬利と思われた.
  • 乾 宏行, 小幡 俊彦, 植草 忠, 岸田 勝, 渡辺 一彦, 飯倉 洋治, 正木 拓朗, 梅里 義博, 永倉 俊和
    1988 年 2 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    小児気管支喘息発作に対する治療法として, 持続吸入94例, 持続点滴24例, 計118例のイソプロテレノール療法につき検討した.
    持続吸入では経時的に呼吸困難の軽減が認められる一方, 心拍数は全例で減少傾向を認め, 副作用は1例も認められなかった. 喘息発作重積状態に対して, ステロイド剤投与の前に試みる価値のある有効かつ安全な方法と思われる.
    持続点滴ではより重症な発作が対象となるが, 呼吸不全状態に対する気管内挿管に代用する方法として有効な方法である. しかし持続吸入に比べ多くの機材と人手を必要とし, また気管内挿管, 人工換気に移行できる態勢を整えておく必要がある.
  • 体質ないし証と適応に関しての柴朴湯投与経験との比較考察
    小田嶋 博, 馬場 実
    1988 年 2 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    小児気管支喘息患者で小青竜湯の有用性について検討し, また適用例の選択について検討するためいくつかの自, 他覚症状と有用性との関係につき検討した. 以上の検討結果について, 柴朴湯における同様の検討結果と比較考察した.
    小青竜湯は全例で検討すると有用以上66.7%, やや有用以上85.7%であった.
    柴朴湯, 小青竜湯とも中ないし軽症例に0.15g/kg以上投与するとかなりの効果を期待できるがさらに有効な結果を得るための目安として柴朴湯は混合型で季節性, どちらかといえば活発だが汗をかきやすく, 疲れやすく腹痛などを訴え風邪をひきやすいもの. 小青竜湯はIgEの高いアトピー型でくしゃみ, 鼻水, 咳などがあり顔色や気持ちの悪くなりやすいものということになると考えちれた. 症例を選び適切な量を投与することで微症状に対する効果も得られ, さらに効果が期待できると考えられた.
  • 馬場 実, 河合 広太郎, 松井 猛彦, 久場川 哲男, 青木 芳郎, 師田 昭一, 千葉 昭典, 水野 愛子, 鈴木 庄三郎, 吉武 幸, ...
    1988 年 2 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アトピー素因を有する小児に, Atopic Dermatitis (AD), Asthma (BA), Allergic Rhinitis (AR) 等のアレルギー疾患がつぎつぎに発現することを Allergy march という. 生後6ヶ月から15歳までのこれらアレルギー疾患を合併する患児124例 (BA+AR+AD 58例), (BA+AR 32例), (BA+AD 34例) に ketotifen を12週間投与した.
    総合的最終全般改善度は, 著明改善12.9%, 中等度改善47.6%, 軽度改善30.6%, 不変8.9%, 悪化0と, 91.1%に改善を示した. また, 喘息の発作点数鼻アレルギーの重症度, およびアトピー性皮膚炎の重症度のいずれも ketotifen 投与前に比しP<0.001の有意差をもって改善した。また, くしゃみ, 〓痒等の症状についても, P<0.05, P<0.001の有意差で改善した. 即ち, 広範な薬理作用を有する ketotifen は, Allergy march の進行をも抑え得る可能性が期待できると考えられた.
  • 田島 公夫
    1988 年 2 巻 1 号 p. 49-51
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    コナヒョウヒダニ (以下Df) 虫体抽出物の生物学的活性の解析の目的でリムルス反応陽性物質についての検討を行った. Df粗抗原では蛋白量の約10%の重量比でリムルス反応陽性物質が検出された. またDf虫体からMaoらの方法により分画したDf50d, Df80dではそれぞれ1%, 0.01%の重最比でリムルス反応陽性物質が検出された. これらのリムルス反応陽性物質は Sephadex G-100カラムゲル濾過による分画では void volume に一致して溶出された.
  • 第1報
    松井 猛彦, 宮林 容子, 市川 邦男, 山口 公一, 遠山 歓, 小田嶋 博, 岩竹 邦宜, 岩崎 栄作, 向山 徳子, 馬場 實
    1988 年 2 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    同愛記念病院小児科を受診したことのある気管支喘息患児で, 喘息が関与して死亡した29例につき検討し以下の結果を得た.
    1) 死亡例は男子18例, 女子11例で, 昭和48年以降12歳以上の死亡例が増加する傾向にあり, 死亡時年齢は平均12.4歳であった. 2) 喘息発症年齢は平均3.2歳であった. 3) 初診年齢は平均8.7歳で, 初診時重症度は中等症2例, 重症26例, 不明1例であった. 4) 最終発作の始まりから死亡までの時間は1時間以内20.8%, 2時間以内50.0%で, 短時間の急激な発作で死亡した例が多かった. 6) 死亡場所は自宅が多く, 44.8%が病院外で死亡していた. 7) ステロイド離脱後1年以内に死亡した例が多かった. 8) 死亡原因は, 窒息23例, 窒息に気胸の合併2例, 誤飲, 心内膜下出血, ステロイド離脱症候群の合併各1例, ACTH, 覚醒剤のショック各1例, 緊急手術後1例, 原因不明3例であった. 9) 剖検した6例の全例に肺の過膨脹, 4例に気管支粘液栓, 5例に副腎萎縮を認めた. 小児気管支喘息の死亡は急激な経過をたどる例が多く, 発作に際し迅速かつ慎重に対処する必要がある.
  • 西川 清
    1988 年 2 巻 1 号 p. 60-68
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    これまであらゆる治療法を駆使しても, コントロールの困難であった成人を含む重症・難治群が, 電動ネブライザーを使用したDSCG+salbutamol 吸入の regular use (DSCG 2ml+salbutamol 0.25~1mg 1日2回) により最長8ヵ月, ほぼ全例に著明な臨床症状および日常生活の改善をみた. regular use 施行前3ヵ月と施行後3ヵ月の臨床症状を比較すると, 発作点数は難治群で71.7から17.4に, 重症群で22.8から10.2に減少した. 救急外来受診回数は, 7名の外来難治群で27.3回 (3~44回) から1.1回 (0~3回) に, 12名の重症群では12.3回 (0~38回) から3.1回 (0~13回) に減少した. また難治群の副腎皮質ホルモン使用量は Prednisolone 換算で460.7mg (150~945mg) から74.2mg (0~415mg) へと減量できた. 学校・仕事の欠席日数は, 難治群で14.1日から0.6日に, 重症群で11.1日から2.0日に減少した. 著明な臨床症状の改善をみた症例, 家族とも, 心理的にも大幅な改善を示した.
    DSCG+β2 agonist の regular use は, 気管支拡張持続作用と気道炎症の抑制作用により発作を予防するだけでなく, これまで困難であった難治群の0レベルを実現し, 気道過敏性に影響を与え, 寛解に導き得る治療法となる可能性を示唆した.
  • 小児アレルギー研究会 , 小児気管支喘息重症度・治癒判定基準再検討委員会
    1988 年 2 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top