日本小児アレルギー学会誌
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IgA腎症を発症した食物アレルギーの1例
卵白, 牛乳負荷にて尿所見の悪化を認めた症例についての検討
三宅 健吉田 隆実高橋 昌里浜崎 豊
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1989 年 3 巻 1 号 p. 32-38

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抄録
卵や牛乳などの多種の食物に対して, 即時型アレルギーの既往を有する8歳のIgA腎症患者を経験した. 卵と牛乳を除去すると, 尿蛋白が低下するような印象を受けるとの母親の意見をもとに, 入院させて, 薬剤は用いずに安静と除去食療法を行い, 尿所見の改善をみた. そこで, 卵白と牛乳の経口負荷試験を施行したところ, 尿蛋白/クレアチニン比が上昇することが確認できた.
本症例のIgA腎症の病因が, 食物に対する免疫反応, 特に食物抗原に対する特異IgA抗体を介した反応にあるのではないかと疑い, 卵白と牛乳に対する血清特異IgA抗体の検出を試みた. しかし, 特異IgA抗体は検出されなかった. したがって, 本症例のIgA腎症においては, 卵白や牛乳抗原に対する免疫反応が直接の原因ではなく, 蛋白負荷によって非特異的に尿所見を悪化させていたのではないかと推測された。
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