日本小児アレルギー学会誌
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Eicosapentaenoic acid が効奏したアトピー性皮膚炎の1例
笹木 明義松本 広伸内山 宏幸斎藤 誠一諸井 孝小屋 二六
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1989 年 3 巻 2 号 p. 140-145

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抄録

今回我々は, 痒疹を合併した重症アトピー性皮膚炎の36歳男性に, 約2年間 eicosapentaenoic acid (EPA) を投与し, その効果を検討した。
その結果は以下にのべるとおりで,
(1) 投与2か月にて痒疹の改善が認められた.
(2) 投与前には16-24%あった好酸球が, 投与後6-8%と減少した.
(3) 投与前には常に15,000U/ml以上あったIgE (RIST) 抗体が, 8,000IU/mlと, 投与後の2年ではじめて測定範囲内となった.
(4) 気管支喘息発作の数も減少し, 投与2か月後からV50, FEV1.0の改善が認められた.
(5) 投与前後におけるPG関連物質の変化については, PF4・6-Keto PG F1α・TXB2・LTB4・LTC4とも上昇傾向をしめした.

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