抄録
小児アレルギー性疾患264例について, MAST法にてアレルゲン特異的IgE抗体測定を行った. MAST法とRAST法は, アレルゲン35項目中24項目において相関係数0.60以上の良好な相関が得られた. MAST法による抗原別陽性率は, 吸入性抗原でヤケヒョウヒダニ (83%), コナヒョウヒダニ (82%), ハウスダスト (77%), ネコ (39%), イヌ (35%), スギ (26%), 食物性抗原でダイズ (35%), 卵白 (24%), コメ (23%), オオムギ (22%), コムギ (20%) であった. 疾患別では, 概ね全項目で気道疾患と皮膚疾患の合併例が単独例より陽性率が高く, 食物では皮膚疾患を有する症例に陽性率が高かった. 年齢別では, 低年齢層で食物の陽性率が高く年齢とともに低下し, ハウスダスト, ダニは年齢とともに急速に上昇し, 動物毛, 花粉は緩徐に上昇, 真菌はやや遅れて上昇する傾向が認められた. 1症例の陽性アレルゲン数は平均7.5個で, 5種類以上に陽性は57%, 10種類以上に陽性は28%に認めた. MAST法による特異IgE抗体の多項目同時測定は, 多種類の抗原に感作されている小児アレルギー性疾患児のアレルゲン診断法として有用な検査法と考えられた.