日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
アレルギー疾患患児の成長発育に関する検討
小田島 安平永山 洋子鳥羽 岡船橋 茂
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 9 巻 1 号 p. 40-45

詳細
抄録

アレルギー患児272名の身長と体重について調査を行った.
1. アトピー性皮膚炎が重症になるとともに身長SDスコアも低下した.
2. アトピー性皮膚炎の重症度別にみると, 年齢の高い例, 食物制限を行っていない例, 牛乳に対するIgE RAST陽性な例に身長SDスコアが低い傾向が認められた.
3. 気管支喘息の重症度と身長および体重の発育との間には特定の関係は認められなかった.
以上, アトピー性皮膚炎が重症化するとともに身長SDスコアが有意に低くなった. その原因については腸管における吸収障害, かゆみによるストレスや睡眠障害, 外用ステロイド剤の影響等が考えらる. 特に重症のアトピー性皮膚炎に関しては, 身長発育に遅れがでることを留意して, 適切な食事指導や外用ステロイド剤の適切な使用のほかに環境の整備, スキンケア, 抗アレルギー剤の使用等をかみ合わせた総合的な治療が必要である思われた.

著者関連情報
© 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top