日本小児アレルギー学会誌
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アトピー性皮膚炎児における皮膚細菌叢と食物アレルギーについての検討
品川 洋一大国 寿士飯倉 洋治松永 貞一
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1995 年 9 巻 1 号 p. 6-13

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抄録
アトピー性皮膚炎 (atopic dermatitis: AD) の患児の皮膚から細菌培養を行い, ADの重症度, 分離細菌種並びに食物アレルギーとの関係を検討した. 対象は0才から6才未満のAD児76名で合計95検体から培養をおこなった. その結果ブドウ球菌 (Staphylococcus sp.: ブ菌) は95検体中73検体 (76.8%) に, そのうち黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus: 黄色ブ菌) は56検体 (58.9%) に, 表皮ブ菌 (Staphylococcus epidermidis) は20検体 (21.1%) にそれぞれ検出された. 卵アレルギーのある患児55検体中49検体 (89.1%) にブ菌が, 40検体 (72.7%) に黄色ブ菌が検出されたが, 卵アレルギーのない患児では40検体中ブ菌は24検体 (60.0%) に, 黄色ブ菌は16検体 (40.0%) に検出されただけであり, 卵アレルギーを有するAD児の皮膚よりブ菌, 黄色ブ菌が有意に高率に分離された (P<0.05, P<0.01). この傾向は特に乾燥した病巣部位において黄色ブ菌で有意に認められたが, ブ菌では有意差は認められなかった. 湿潤した部位では卵アレルギーに関係なく乾燥した病巣部位に比べて, ブ菌並びに黄色ブ菌が有意に高率に分離された.
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