抄録
施設入院療法において種々の治療にもかかわらず難渋していた難治性喘息児に対し, 当センターにおいて, DSCG液+β2刺激剤+プレドニゾロンを混入した定時吸入療法を深夜・早朝にまで拡大し, 1日5~6回実施することで病状の安定化をみた2症例を経験した. 深夜・早朝の定時吸入は, 吸入装置を工夫し, 患児が就寝中でも実施できた. 症例1: 15歳男児. 喘息発症は1歳, その後入退院を繰り返し, 5歳以降は施設入院療法下にて経ロステロイド剤を含む治療を受けていたが, 呼吸不全を含む重積発作を頻繁に繰り返していた. 10歳時に前病院の併設養護学校の学年制限規定を越えたため当センターへ紹介転院. 前記の定時吸入療法を深夜・早朝にまで拡大したところ, 開始1~2ヶ月頃より病状の安定化が得られた. 症例2: 15歳男児. 喘息発症は1歳9ヶ月. ステロイド依存性ではないが, 症例1と同様の治療経過をたどって安定化した. 2症例とも著明な呼吸機能の日内変動を呈する難治性喘息児であり, 積極的な定時吸入療法の拡大で, 病状の安定化をもたらしたと考えられた.