日本小児アレルギー学会誌
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小児期の果物・野菜アレルギー
RASTおよびプリックテストと臨床症状との関連について
松本 勉
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1995 年 9 巻 4 号 p. 294-302

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抄録

本邦において多種類の果物・野菜アレルギーについて検討した報告はない. 小児期に果物・野菜アレルギーの頻度は少ないといわれているが, 重篤な誘発例も報告されている. そこで食物アレルゲンにすでに感作されている小児アトピー性疾患児175名を対象に, 22種の果物・野菜について誘発歴の有無, RAST, プリックテスト (SPT: skin prick test) について検討した. 果物・野菜の摂取による誘発歴を認めたものは28名 (18.1%) に過ぎなかった. 101名 (57.5%) が22種の果物・野菜アレルゲンのいずれかにRASTで陽性を示した. RAST陽性率は, 年長児ほど高く, このうちキウイが最も高く (40.0%), バナナが最も低かった (10.9%). 各アレルゲン間のRASTでは, 植物学上の分類と異なった相関を示した. 誘発歴が明らかな食物として多いものはキウイ, トマトであり, その多くは口囲・口唇・口腔の発赤・血管性浮腫・掻痒・刺激感などの症状 (以下 oral 症状と略す) を示した. 果物・野菜におけるRAST, SPT, 誘発症状は必ずしも一致しないので, アレルゲンと検査の特性を把握しながら診断を進める必要があると思われた.

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