日本小児循環器学会雑誌
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原著
小児用マルチプレーンプローベを用いた周術期経食道心エコー:乳幼児における先天性心疾患手術にもたらす影響
中川 直美鎌田 政博石口 由希子久持 邦和
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2012 年 28 巻 3 号 p. 179-185

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抄録

背景:周術期経食道心エコー(TEE)は体格の問題から乳幼児での使用や効果に制限があった.
目的:小児用マルチプレーンプローベ(PMP)を用いた周術期TEEの有用性について調査検討すること.
対象と方法:2007年以降に周術期TEEを試みた412例を使用プローベによりA群(PMP), B群(小児用バイプレーン), C群(成人用MP), D群(挿入不能)の4群に分類した. 年齢分布, 基礎心疾患, 手技追加の有無, 術後経過, 挿入不能理由とその影響について調査した.
結果:A群は0~4歳が86%(乳児33%), B群は5~9歳が57%, C群は15歳以上が70%, D群は乳児が83%であった. 手術手技追加はA群16例, C群6例で, B群に該当例はなかった. 単純心奇形はA群で35%, B群で94%, C群で48%であった. A群の手術手技追加は右室流出路再建7件, 房室弁再形成6件, 残存短絡閉鎖3件, 上大静脈狭窄解除1件であった. D群は心臓外疾患, 低体重が多く, 1例で術後15日で再手術を必要とした.
結語:複雑心奇形が多い乳幼児期の開心術においてPMPを用いたTEEの効用は大きく, 予後改善につながると考えられる.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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