抄録
背景:川崎病急性期の治療は2g/kgの免疫グロブリン静注 (intravenous immunoglobulin;IVIG) 療法が推奨されているが, 体重の大きい症例ではIVIG量が多くなり単回投与に躊躇する場合もある. 本研究の目的は, 体重の大きい川崎病患児の特徴やIVIG量とその効果を調査し検討することである.
対象および方法:体重25kg以上の川崎病患児 (25KD) 13例と体重15kg未満の川崎病患児 (15KD) 326例の臨床検査値や治療およびその効果について比較した.
結果:25KDの年齢は8±2歳, 体重は30±6kg (25~44) であった. 25KDは15KDと比較して好中球の割合およびCRP値が有意に高値で, 血小板数は有意に低値, 群馬スコアは有意に高点だった. 25KDの13例中12例は7病日以内に治療が開始されていた. 各年代で推奨されたIVIG療法の一日投与量に対する実投与量の割合は平均92%と15KDの112%と比較して有意に少なかった. 25KDに追加投与の必要な例はなかったが, 追加投与例の頻度には有意差を認めなかった.
結語:25KDは15KDより重症だったが治療開始の遅れはなく, 推奨量より少ないIVIG一日投与量で治療が行われたが, 追加投与例は認めなかった. 体重の大きい川崎病患児における至適IVIG量に関しては症例数を増やして再検討が必要である.