日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
胎児心臓超音波検査により診断された動脈管早期収縮の1例
中山 祐子藤田 修平中村 太地畑崎 喜芳
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2012 年 28 巻 5 号 p. 282-286

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抄録
母体への非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)投与により動脈管早期収縮を来した症例を経験した.
症例は在胎32週6日の胎児. 母体は妊娠31週時に切迫早産に対しインドメサシンを投与され, 鎮痛目的にアセトアミノフェンを使用されていた. 精査目的に施行した胎児心臓超音波検査にて右室肥大を伴う右心系拡大, 三尖弁逆流, 動脈管狭窄所見を認めた. 胎児の未熟性を考慮し, 薬剤投与を中止したうえで胎児心臓超音波検査を繰り返し行い慎重に経過観察した. 経過中, 右心不全の増悪所見は認めず, 妊娠継続した. 在胎37週5日, 帝王切開で出生した. 出生後の心臓超音波検査では右室圧負荷所見を認めたが, 児の全身状態は良好で特に治療を要さず, 生後1カ月で肺高血圧所見はほぼ消失した.
従来, 動脈管早期収縮は早期娩出の適応とも考えられてきたが, 原因薬剤の中止により可逆性に血行動態が改善する症例も多く経験される. 経時的な胎児心臓超音波検査による観察は, 適切な娩出時期を決定する際に有用であると思われた.
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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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