日本小児循環器学会雑誌
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原著
純型肺動脈閉鎖術後遠隔期における心臓MRI 検査を用いた両心室収縮機能評価
石丸 和彦上野 高義井手 春樹平 将生小澤 秀登小垣 滋豊澤 芳樹
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2013 年 29 巻 3 号 p. 118-124

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抄録
背景:純型肺動脈閉鎖(PAIVS)の二心室修復(BVR)術後長期遠隔期での心機能評価の報告は少ない.
目的:心臓MRI 検査(cMR)を用いてBVR 術後遠隔期のPAIVS 症例における三尖弁輪径,右室容積の変化並びに両心室収縮機能を評価すること.
方法:対象は1990 年以降,BVR 術後10 年以上経過したPAIVS 4 例,平均年齢は18.5 歳.PAIVS 4 例(P 群)と健常人9 例(N 群)にcMR を施行し,両心室容積並びに上行大動脈,肺動脈のforward flow を算出し,両心室収縮力(contractility)を比較した.
結果:心臓カテーテル検査での%TVD(三尖弁弁輪径正常比),並びに %RVEDV(右室拡張末期容積正常比)の推移は,出生時73 ± 3.9%,45 ± 27% であり,BVR 術前,術後遠隔期でそれぞれ82 ± 6.1%, 88 ± 9.9%,%RVEDVは93 ± 37%,102 ± 49% と経時的に増加した.cMR で計測された両群のRVEDV(I P:N= 104 ± 33:74 ± 9.8mL/m2,P=0.21)並びにLVEDV(I P:N=76 ± 5.2:83 ± 49 mL/m2,p=0.22)は有意差を認めず, 両心室のPWRmax/EDV2は右室(P:N=7.8 ± 3.7:16 ± 8.0,P=0.06),左室(P:N=36 ± 3.0:82 ± 49,p<0.05)ともP 群で低値であった.
結論:PAIVS 症例のBVR 術後長期遠隔期では,右心室容積並びに三尖弁輪径の増大を認めるものの,両心室のcontractility は低値であった.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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