抄録
背景:日本Pediatric Interventional Cardiology学会(JPIC)のアンケート調査によれば,80例前後に対しStatic Balloon Atrial Septostomy(static BAS)が行われていると推測されるが,本法に用いるバルーンカテーテルは適応外であり,static BASとしての手技料も設定されていない.Static BASの手技料や適応取得のための基礎資料を得るため,わが国における実態調査を行った.
方法:2009年1月1日~2011年12月31日の症例についてJPICの幹事が所属する33施設に対してアンケート調査を行った.
結果:33施設中27施設から回答があり,このうち症例があった19施設中18施設から,延べ111例について以下の回答を得た.①年齢は28日以内45例(中央値7日),1~11ヵ月60例(2ヵ月),1歳以上6例(15歳).②診断は左心系閉塞性疾患55例,大血管転位31例,右室低形成疾患20例,その他5例.③適応は第一選択73例,Rashkind無効35例,その他3例.④バルーンの種類はすべてが弁形成用または血管形成用バルーンで,36例(32%)ではstatic BAS後にRashkind法を追加.⑤バルーン径は12mm,10mmの順.⑥有効率は85%(94/111)で,合併症を認めたのは5例,死亡例はなし.
結論:Static BASは有効性・安全性とも高く,一般的な治療手技として認知されているものと考えられた.