抄録
先天性心室瘤は頻度が低く,なかでも右室に発生するものは極めて稀である.またその予後は非常に悪く,瘤破裂や突然死の可能性もある.本症例は,出生後の心エコーで右室心尖部の瘤状変化を指摘された.無症候性であったため外来観察とされたが,経過中に瘤状構造物の拡大を認めたため生後6 ヵ月時に手術を施行した.術後の病理学的検査で心室瘤であることが確定された.われわれは無症候性の先天性右室瘤に対して慎重に経過観察を続けたことにより,早期に瘤の拡大傾向を発見し,致死的合併症が出現する前に手術へと移行し良好な結果を得た.