日本小児循環器学会雑誌
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原著
小児期・青年期に植え込み型除細動器治療を施行した症例の検討
吉田 修一朗大橋 直樹西川 浩久保田 勤也今井 祐喜櫻井 一
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2013 年 29 巻 5 号 p. 228-232

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抄録

背景:小児に対する植え込み型除細動器(ICD)の植え込み数は少なく,全体の1%以下である.また合併症や長期にわたるフォローアップ等を考慮してICDの適応を慎重に判断する必要がある.
目的:小児期・青年期にICD植え込みを行った症例を調べ,当院における適応の妥当性,植え込み後の状況について検討を行った.
方法:18歳以下でICDを植え込んだ6例について,基礎疾患,ガイドラインにおけるICD適応のclass分類,植え込み時の年齢,植え込み方法,植え込み後のショック作動状況,頻拍治療としてのカテーテルアブレーション(ABL)や薬物療法の有無,合併症について検討した.
結果:6例の基礎疾患は,特発性心室細動2例,ファロー四徴症(TOF)術後,拡張型心筋症,心筋炎後,QT延長症候群(LQTS)が各1例であった.ICD適応は,日本循環器学会ガイドラインを参考にclass Ⅰ 5例, 分類不能 1例と判断した.ICD施行時年齢は12.9(3.8~17.9)歳であり,経静脈アプローチ5例,外科的アプローチ1例であった.ICDのフォローアップは平均3.0(0.8~4.9)年,ショック回数は適切作動3例,計4回であり,心房頻拍による不適切作動が1例,計4回あった.カテーテルアブレーション(ABL)は6例中2例で施行.一方頻拍発作予防としての薬物療法は5例で併用されていた.フォローアップ期間中,治療を要する合併症は認めなかった.
結語:小児期・青年期におけるclass Ⅰの症例では半数以上でICDの適切作動を認め,適応は妥当であったと判断した.フォローアップ期間中,治療を要する合併症は認めなかった.小児期・青年期であっても,必要症例では,積極的にICDを植え込むことにより生命予後の改善が期待できる.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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