日本小児循環器学会雑誌
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原著
小児期WPW 症候群に対する 経皮的高周波カテーテルアブレーションの長期にわたる治療成績
青木 寿明中村 好秀福原 仁雄竹村 司
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2013 年 29 巻 6 号 p. 331-338

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抄録

背景:これまでに小児におけるWPW症候群に対するアブレーション治療の10年を超えた長期成績の報告は,調べ得た限り見当たらない.本研究の目的は高周波カテーテルアブレーションの長期成績に加え,初回のアブレーションの成績,中期成績を明らかにすることである.
対象と方法:1992~2001年の10年間に当院で経皮的高周波カテーテルアブレーションを施行した20歳未満の心内構造異常を有さないWPW 症候群.施行数は184例,219セッション,男104例,女80例,年齢は0歳6ヵ月~19歳,中央値13歳であった.急性期,中期成績については後方視的に診療録から,長期成績についてはアンケートを用いて検討した.
結果:アブレーション前に97%が頻拍発作を認めた.副伝導路の局在は左側52%,中隔16%,右側26%,複数本6%であった.急性期の成功,再発,不成功の割合はそれぞれ94%,13%,6%であった.右側副伝導路の成功(再発なし)は左側副伝導路に比べ有意に低かった.中期成績(中央値44ヵ月)の成功率は96%であった.アンケートで調査した長期成績(中央値165ヵ月)では再発例を認めず,アブレーションの満足度は98%であった.再発の時期については術後9年目に再発した1例を除き,全例1年以内に再発した.合併症は6例に認め,完全房室ブロック2例(うち1例は一過性,いずれも中隔副伝導路),完全右脚ブロック3例,軽度大動脈弁閉鎖不全1例であった.いずれもペースメーカ,薬物治療などを要した症例はなかった.
結論:小児に対する高周波カテーテルアブレーションの長期成績は,急性期・中期と同様に良好である.ただし急性期には房室ブロックなどの稀な合併症,術後1年以内には再発の可能性があり,さらにアブレーションの成功率や安全性を高める必要がある.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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