日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
Fontan 循環における房室同期の重要性:Fontan 型手術後に接合部調律から心不全を呈した1 症例の循環動態評価
安田 和志石川 友一石川 司朗牛ノ濱 大也中村 真佐川 浩一
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2013 年 29 巻 6 号 p. 339-344

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抄録
TCPC術直後から洞機能不全,接合部調律となったEbstein奇形の3歳10ヵ月,女児例を報告する.術後28日まで暫定的心房ペーシングを行い,洞機能回復を促す目的で術後23日からシロスタゾールを,術後37日からテオフィリンを投与した.その後,覚醒時はほぼ洞調律となったが,夜間の大半は接合部調律で,朝,浮腫や末梢冷感を認めた.心エコー図パルスドプラ法による左室流入血流速波形でA波が消失し,肺静脈血流速波形はS波の減少とPVA波の増高を認めた.房室同期を失った結果,心房ブースターポンプ機能およびリザーバー機能が低下したことが示唆された.心臓カテーテル検査における経食道心房ペーシング時と接合部調律時の循環動態の比較では,平均中心静脈圧は両者でほぼ同値であったが,接合部調律では中心静脈圧波形は棘波を呈した.また,接合部調律では体血圧および心係数は低下した.永久ペースメーカ植込術により心不全症状は改善した.房室同期の重要性を再確認するとともに,より質の高いFontan循環を目指したリズム管理を積極的に検討する必要があると考えられた.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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