日本小児循環器学会雑誌
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原著
小児生活習慣病予防健診におけるnon-HDLコレステロールの意義
宮崎 あゆみ小栗 絢子市田 蕗子
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2014 年 30 巻 1 号 p. 66-73

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抄録
背景:成人ではnon-HDLコレステロール(non-HDL-C)は今や心血管危険因子として重要であると認識されており,『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』の管理目標脂質ともなった.しかし,小児における有用性の検討は少ない.
方法:2010,2011年の2年間に高岡市内の小学4年生,中学1年生計5,853名に対し小児生活習慣病予防健診を実施し,身体計測および総コレステロール(TC),HDLコレステロール(HDL-C),トリグリセリド(TG),LDLコレステロール(LDL-C)測定を行った.肥満度や各脂質間の相関を検討するとともに,スクリーニング基準にTCの97パーセンタイル値220mg/dLとnon-HDL-C 152mg/dLを用いた場合の抽出結果を比較検討した.さらに二次検診に抽出された肥満児150名について小児メタボリックシンドロームとnon-HDL-Cとの関連を検討した.
結果:non-HDL-CはTCより良好に肥満度,TGと相関した(r=0.273, 0.360 vs 0.118, 0.179すべてp<0.001).TCによるスクリーニングでは高HDL-Cが少なからず過剰抽出され,高LDL-Cの検出感度はnon-HDL-Cより低率となった(80.8% vs 98.3%).二次検診肥満児ではnon-HDL-Cレベルが高いほど小児メタボリックシンドローム診断率が有意に高率となった(p=0.009).
結論:小児生活習慣病予防健診におけるスクリーニング基準としてnon-HDL-CはTCより有用である.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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