抄録
近年,心房細動に対するカテーテルアブレーション治療は,治療テクニックの向上,3D マッピングシステムの開発・進歩に伴いめざましい発展をとげている.左房内での緻密なカテーテル操作,きめ細かい電位認識,さらには3D マッピングの正確な画像認識が求められる同治療は,これまであまり省みられることのなかった左房内および周辺構造への理解を向上させた.勢い同治療の進歩 により,これまで知られていなかった左房内特殊構造物,あるいは再確認された構造物の存在が明らかとなってきている.それらの構造を理解することは,成人 ばかりでなく小児循環器疾患を理解するうえでも意義のあることと考える.
本稿では,左房内構造を中心としてアブレーションに関連する以下の構造〔左房天 井静脈,左房前壁憩室,副左心耳,左房前壁の壁厚が薄い領域(translucent area),Myocardial bridge,心房筋欠損領域〕に注目し,その特殊性と臨床的意義につき述べる.