日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
感染性腕頭動脈瘤に対してカバードステント留置術を行った乳児例
菅本 健司藤本 義隆斎藤 千徳菱谷 隆星野 健司小川 潔保科 俊之山本 裕介篠原 玄野村 耕司
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2015 年 31 巻 5 号 p. 271-277

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抄録
感染性動脈瘤は破裂の可能性が高く,敗血症を合併することが多いため重篤な病態である.今回,先天性心疾患術後のMRSA縦隔炎に合併した感染性腕頭動脈瘤の乳児例を経験した.縦隔炎再燃の際に胸部造影CTで腕頭動脈瘤が判明した.動脈瘤が腕頭動脈を後方に圧排し,気管圧迫も認めていた.動脈瘤破裂の危険もあり準緊急でカバードステント留置を行った.カバードステントはバルーン拡張型の金属ステントにePTFEシートをロール状に縫着し作成した.右内頸動脈から計2個のカバードステントを留置し,動脈瘤は消失し気管圧迫も改善した.長期にわたる抗MRSA薬の併用で縦隔炎も寛解した.手技の合併症として右ホルネル徴候を術後に認めた.破裂の危険が迫る感染性動脈瘤に対してのカバードステント留置は治療の選択肢の一つとなりうる.
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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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