日本小児循環器学会雑誌
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原著
心電図上QRS幅が狭いFallot四徴症(TOF)術後患者のBNP,NT-pro BNP値,QRS幅と右室機能の検討
中嶌 八隅森 善樹武田 紹金子 幸栄井上 奈緒渡邊 一正小出 昌秋
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2014 年 30 巻 2 号 p. 153-162

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抄録
背景:Fallot四徴症(TOF)術後遠隔期では,肺動脈弁逆流による右室機能障害と関係して経年的に心電図でのQRS幅が延長すること,またB-typeナトリウム利尿ペプチドが機能障害を伴う右心室容積拡大とよく相関することが報告されている.しかしQRS幅が狭い術後症例で同様のことがいえるか定かでない.
目的:QRS幅が狭いTOF術後患者において,BNP,NT-pro BNP値,CTR,QRS幅が右心室容積の推定に役立つかを検討すること.
方法:QRS幅が180msec未満,かつBNP,NT-pro BNP測定と,MRIまたは心カテーテル検査での右心室容積を含めた心機能評価を行ったものを対象にした.BNPとNT-pro BNP値と心室容積,心室駆出率(EF)の関係,またカテーテル症例では加えて右室収縮期圧,右心室拡張末期圧(RV-EDP)との関係を検討した.
結果:対象は62例で,評価年齢は中央値18.9歳(2.5~64.2歳),術後14.5年(0.1~43.5年),QRS幅は130 msec(64~176 msec)であった.BNPとNT-pro BNPともに右室容積,左室容積,EF,右室圧,RV-EDPとの相関関係は認めなかったが,QRS幅とは右室拡張末期,収縮末期容積ともに正の相関,右室EFとは負の相関がみられた.
結論:180msec未満のQRS幅の狭いTOF術後患者では,QRS幅は右室容積の拡大,EF低下の推定に有用な指標であるが,BNP値からは困難である.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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