日本小児循環器学会雑誌
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Loeys-Dietz 症候群
森崎 裕子森崎 隆幸
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2014 年 30 巻 3 号 p. 232-238

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抄録
Loeys-Dietz症候群(LDS)は,動脈瘤/解離,蛇行性血管などの血管症状,特徴的顔貌(眼間開離,二分口蓋垂/口蓋裂,頭蓋骨早期癒合),および種々の骨格症状(漏斗胸,鳩胸,側彎,関節過可動,クモ状指,内反足)を呈する常染色体優性遺伝性の全身性結合組織異常である.症例による症状の幅は広く,また必ずしも前記すべての症状を伴うとは限らないが,何らかの血管症状をほぼ全例で認める.Marfan症候群(MFS)に酷似した臨床症状を呈する症例も多く,MFSと診断されている場合も少なくないが,MFSに比し,より若年期からの大動脈基部拡大と,より広範な動脈瘤形成/解離の傾向があり,乳幼児期から循環器科の積極的介入が求められることも多い.また,治療管理においては,循環器科,整形外科,形成外科,遺伝科の各専門医を含むチームアプローチが必要である.原因遺伝子は,TGFBR1およびTGFBR2であるが,ほかのTGF-βシグナル伝達系分子であるSMAD3TGFB2遺伝子の異常によっても類似の症状を呈することがわかり,これらもLDSの亜型とされている.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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