日本小児循環器学会雑誌
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原著
動脈管開存に対するカテーテル治療におけるコイル閉鎖術の役割:Amplatzer® Duct Occluder導入前後で比較
西岡 貴弘富田 英曽我 恭司藤井 隆成藤本 一途喜瀬 広亮大山 伸雄上村 茂
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2014 年 30 巻 3 号 p. 287-293

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抄録

背景:Amplatzer® Duct Occluder(ADO)導入以降,動脈管開存症(PDA)に対する治療戦略は大きく変わり,当院でも2010年以降2mm以上の動脈管に関してはADOを導入した.本研究ではADO導入前後おけるPDAに対するコイル閉鎖術の役割を検討した.
対象と方法:期間は2007年4月〜2012年6月.ADO導入前(2007〜2009年)にコイル閉鎖術を施行した14例(A群),およびADO導入後にコイル閉鎖術を施行した12例(B群),ADO使用群13例(C群)の年齢,体重,PDAのKrichenko分類および最小径,コイル使用数について解析した.
結果:年齢,体重,動脈管最小径の順にA群で7±16歳,18.3±17.9kg,2.1±1.5mm,B群で8±15歳,18.4±12.4kg,1.4±0.7mm,C群で23±33歳,22.4±21.3kg,2.8±2.0mmであった.年齢,体重には3群間に有意差はなかったが,最小径はB群とC群の間に有意差を認め,B群の最小径はより小さく,コイル1個での閉鎖が多い傾向にあった.B群でコイルを複数用いた2mm以上の1例はtype DでPDA長が長い例であった.
結語:ADO導入後,コイル閉鎖術の対象となるPDAは最小径2mm未満で,コイル1個での閉鎖が主体であったが,長いPDAでは2mm以上でもコイル閉鎖術が望ましい場合があると考えられた.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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