抄録
背景:房室結節リエントリー頻拍(atrioventricular nodal reentrant tachycardia:AVNRT)の患者において,頻拍発症機序の一因に速伝導路(FP)と遅伝導路(SP)との間の電気的相互作用の存在があげられているが,小児のAVNRT症例における電気的相互作用についてはよく検討されていない.
方法:2011年4月1日~2013年8月31日の期間に,当科でカテーテル治療を行った先天性心疾患のないAVNRT症例について,後方視的に治療前後のデータを比較した.
結果:カテーテル治療にてSP離断に成功したAVNRT症例は8例(年齢 8 ~18歳).8例全例において,SP離断後にFPの有効不応期(ERP)の著明な短縮が認められた(403.8 ± 101.6 ms vs. 300.0 ± 96.2 ms,p <0.001).さらにこの短縮と体表面積との間には正の相関傾向を認めた(r =0.65,p =0.079).
結論:体格による速遅伝導路間の電気的相互作用の変化が認められ,電気的相互作用の頻拍発作発症への関与が示唆された.