日本小児循環器学会雑誌
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原著
免疫グロブリン大量療法への反応が予測される川崎病患児における不応例の検討
川村 順平野村 裕一益田 君教森田 康子吉重 道子柳元 孝介上野 健太郎江口 太助河野 嘉文
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2014 年 30 巻 3 号 p. 298-302

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抄録
背景:川崎病における免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応例は冠動脈病変を来すリスクが高い.そこで,Kobayashiらは不応例の予測スコアの有用性を報告した.Kobayashiスコアの精度は高いが,スコア低値でも一定の不応例は避けられない.今回はそれらの不応例の特徴について検討した.
方法:IVIGを行った川崎病患者でIVIG反応例と予測されるKobayashiスコア4点以下の123例(不応例9例と反応例114例)を対象とし,その臨床所見や血液検査値を比較した.
結果:不応例はより低年齢で,6ヵ月以下の例が有意に高頻度だった(p =0.026).両群の入院病日に差はなかったが,入院時の主要症状数は不応群で少なく,2症状以下の例が有意に高頻度だった(p =0.009).
結論:Kobayashiスコア低値でも年齢が6ヵ月以下の例や,入院時に主要症状数が2項目以下で急速にほかの症状が出現し診断される例では,追加投与を必要とする可能性があり,IVIG開始後も注意深い経過観察が重要である.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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