日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
先天性肺静脈狭窄症の3 例
鈴木 浩仁木 敬夫小田切 徹州安孫子 雅之田邉 さおり早坂 清
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2014 年 30 巻 3 号 p. 334-342

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抄録

 先天性肺静脈狭窄症(congenital pulmonary vein stenosis: CPVS)の3例を報告する.2例は心房中隔欠損と左上大静脈遺残を,1例は動脈管開存と卵円孔開存を合併しており,3例とも乳児期から幼児期早期に多呼吸や陥没呼吸などの心不全症状を認めた.診断にドプラ心エコー図と造影3D-CTが有用であった.1例にsutureless repair法を用いた肺静脈狭窄解除が行われたが,術後一旦肺静脈狭窄は改善したものの,再発を認めた.病理組織学的検討をした2例では肺静脈内中膜での筋線維芽細胞の増殖が認められた.術後肺静脈狭窄が進行した1例に筋線維芽細胞増殖抑制の目的でimatinibを投与したが効果は認められず,3例とも肺静脈狭窄が進行して死亡した.
 CPVSは進行性の疾患であり,両側例の予後は極めて不良である.病態として肺静脈内の筋線維芽細胞の異常増殖が推定される.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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