抄録
重度心不全を伴った拡張型心筋症(Dilated cardiomyopathy:DCM)に対して血漿交換療法(Plasma exchange:PE)が有効だった2幼児例を経験したので報告する.
症例1:1歳1ヵ月 女児.特発性DCM.カテコラミン等の治療を開始するもカテコラミン離脱不能なため99病日PE施行.PE後,心機能回復傾向だったがカテコラミン減量で心機能悪化するため,ピモベンダン,デノパミン内服併用しカテコラミン離脱.臨床症状もNYHAクラスIVからIIに改善した.
症例2:1歳1ヵ月 女児.特発性DCM.カテコラミン等の治療開始.症例1におけるPEの有効性からPE早期導入を考慮し,41病日PE施行.PE後カテコラミン離脱.臨床症状もNYHAクラスIVからIIに改善した.
難治性心不全を伴う小児DCM患者にとって唯一有効な治療法である心臓移植は,現在極めて困難な状況にある.こうした状況のなかでのPEによる心不全治療は,有用である可能性があると考えられる.