日本小児循環器学会雑誌
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失神について
泉田 直己
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2014 年 30 巻 4 号 p. 382-391

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抄録

失神は,「一過性の意識消失の結果,姿勢が保持できなくなり,かつ自然に完全な意識の回復がみられること」と定義される.失神は,成因により反射性失神,起立性低血圧,心原性に分類される.心原性失神は非心原性失神に比し予後が悪い.反射性失神や起立性低血圧の診断では発症時の状態やその前後の経過を詳細に把握することが重要である.チルト試験は診断に有用である.心原性失神では,失神発作は,主要な危険因子であることが多く,基礎にある不整脈や器質的心疾患の診断と重症度を正確に判定し,それぞれの疾患・病勢に応じた対処を行うことが必要である.一過性の意識消失例では,失神と意識消失を来す他の疾患との鑑別を行う.発症時の状況,血圧,脈拍,心電図,胸部X線などの基本検査に加え,必要に応じで心エコー図,CT,MRIなどを行う.小児では,起立性調節障害との鑑別も大切である.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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