抄録
小児心不全は,原因となる小児心疾患のバリエーションが多く,しかも先天性心疾患を基盤とした血行動態障害では必ずしも心収縮に問題を認めないなどの理由から一般化が困難でエビデンスレベルの高いエビデンスが多くはない.
心不全治療薬はカテコラミン・利尿薬などの血行動態改善を目標とする薬剤とレニン︲アンジオテンシン︲アルドステロン系抑制薬・ベータ遮断薬などの予後改善を目的とする薬剤がある.前者においては血行動態および臨床所見の推移を注意深く見守ることで効果判定・用量設定などが可能であるが,後者は一人の患者さんの経過を見守っても効果判定はできない.小児の数少ない報告や成人でのデータを参考に治療方針をたてなければならない.