日本外傷学会雑誌
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日本外傷学会将来計画委員会報告:J-OCTET
頭部外傷非合併重症外傷における抗凝固薬・抗血小板薬内服の止血的介入への影響
工藤 大介久志本 成樹白石 淳大友 康裕齋藤 大蔵早川 峰司萩原 章嘉佐々木 淳一小倉 裕司松岡 哲也植嶋 利文森村 尚登石倉 宏恭武田 宗和金子 直之加藤 宏横田 裕行坂本 照夫田中 裕村田 希吉遠藤 彰金村 剛宗渋沢 崇行萩原 靖古郡 慎太郎仲村 佳彦前川 邦彦真山 剛矢口 有乃金 史英高須 修西山 和孝
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2016 年 30 巻 3 号 p. 370-375

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抄録

 【目的】頭部外傷非合併重症外傷例では, 抗凝固・抗血小板薬 (薬剤) 内服が, 止血的介入のリスクであるかを検討すること. 【方法】Japanese Observational Study for Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) データベースに収集されたInjury Severity Score (ISS) ≧16の外傷のうち, 頭部外傷合併例を除く312例を対象とした. 24時間以内の新鮮凍結血漿10単位以上投与または止血的介入施行による複合アウトカムを主要評価項目として, 薬剤内服による影響を検討した. 【結果】内服群は20例 (6.4%) であり, 両群間の生存期間に差はなかった. 上記複合アウトカムに対する年齢, 性別, ISS, 薬剤内服の有無を説明変数としたロジスティック回帰分析では, 薬剤内服は独立した止血的介入の予測因子であった (オッズ比3.16, 95%信頼区間1.08–9.10, P<0.05). 【結論】頭部外傷を合併しない重症外傷患者における抗血栓薬内服は, 止血的介入の増加と関連する可能性がある.

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© 2016 一般社団法人 日本外傷学会
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