2016 年 30 巻 3 号 p. 370-375
【目的】頭部外傷非合併重症外傷例では, 抗凝固・抗血小板薬 (薬剤) 内服が, 止血的介入のリスクであるかを検討すること. 【方法】Japanese Observational Study for Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) データベースに収集されたInjury Severity Score (ISS) ≧16の外傷のうち, 頭部外傷合併例を除く312例を対象とした. 24時間以内の新鮮凍結血漿10単位以上投与または止血的介入施行による複合アウトカムを主要評価項目として, 薬剤内服による影響を検討した. 【結果】内服群は20例 (6.4%) であり, 両群間の生存期間に差はなかった. 上記複合アウトカムに対する年齢, 性別, ISS, 薬剤内服の有無を説明変数としたロジスティック回帰分析では, 薬剤内服は独立した止血的介入の予測因子であった (オッズ比3.16, 95%信頼区間1.08–9.10, P<0.05). 【結論】頭部外傷を合併しない重症外傷患者における抗血栓薬内服は, 止血的介入の増加と関連する可能性がある.