日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
Print ISSN : 0911-1794
原著
5年間の胎児心エコー検査で検出された軽度異常所見の経過と予後について
佐藤 工佐藤 啓今野 友貴
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2014 年 30 巻 5 号 p. 563-568

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抄録

背景:胎児心エコー検査で検出された,軽度の異常所見の転帰は不明の点が多い.
方法:2008年5月から2013年5月までの5年間に,産科医による胎児超音波スクリーニング(レベルI診断)に引き続き,循環器専門医による胎児心エコー検査(レベルⅡ診断)を受けた胎児1,753例(在胎26.9±2.2週)から検出された,軽度の異常所見の経過と予後について後方視的に検討した.軽度の異常所見とは,軽度の弁逆流や心大血管の解剖学的異常,および軽度の調律不整で,それらの存在が検出時点で胎児血行動態に有意の影響を及ぼさないと考えられるものとした.
結果:心房期外収縮(PAC)11例,軽度の三尖弁逆流(TR)9例,軽度の僧帽弁逆流1例,軽度の肺動脈弁逆流4例,動脈管の蛇行3例,鏡像型右胸心2例を認めた.TR例の1例で,初回の検査では軽度であった逆流が軽度〜中等度に増加して,軽度の心拡大を伴うようになり,出生後に右室低形成を伴わないEbstein奇形と診断した.TR例の残り8例を含めて,その他の異常所見例は全て,一過性所見もしくは不変であり,治療介入を要するものはなかった.
結語:胎児心エコー検査で遭遇する軽度の異常所見のうち,初回検出時から治療介入が必要な血行動態的異常を伴わずに,一過性所見として消失するか増悪傾向のないものは予後良好な可能性がある.しかし,持続的に認める際は,病態の悪化や器質的疾患の顕在化に留意して,胎児期〜出生後にかけて複数回の観察が必要である.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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