抄録
背景:公共機関の自動体外式除細動器(AED)設置が一般化しつつあり,AEDによるVF survivorの予後に感心が高まっている.しかし先天性心疾患(CHD)を基礎にもつVF survivorの蘇生後経過に関してはほとんど報告がない.
方法:2006年11月から2012年10月にAEDで蘇生され当院で植込み型除細動器(ICD)植込みを施行されたCHD症例(年齢中央値17.1歳)6例に関して患者背景,ICD作動状況等を検討した.
結果:基礎疾患はファロー四徴症2例,修正大血管転位症,大動脈弁下狭窄,先天性僧帽弁逆流術後心筋梗塞,冠動脈起始異常が各1例であった.ICD植込みと併行し外科治療介入が5例で行われた.ICD作動状況は追跡期間中央値3.9年で適切作動1例(1回),不適切作動3例(合計8回)であった.全例後遺症なく社会生活に復帰し,追跡期間中死亡例は認めなかった.
結論:当院ではCHDを基礎にもつVF survivorの診療において,VFの原因となる血行動態の問題点を積極的に治療し,ICD植込みを併行して行う方針としている.全例後遺症なく生存しており,有効な治療戦略と考える.