2017 年 33 巻 3 号 p. 191-196
成人のLVAD(左室補助人工心臓)療法は心不全の非薬物療法,Bridge to transplantationとして確立した治療法となり,米国ではすでに一万例以上,本邦でも2010年9月のJMACS(Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)設立以来その登録数は700例を超している.世界的にはBerlin Heart社製のEXCORが小児の重症心不全患者1,800例以上に対し使用されており,それまでの最終治療であったECMOに比し有意に良好な成績を上げている.本邦でも医師主導治験を経て2015年8月より本邦でも保険償還されたが,極端な小児心臓移植ドナー不足という背景から米国のように普及したとは言いがたい.このような現状から小児でも長期間の待機を安全に自宅で行える小児用埋め込み型が左室補助人工心臓の開発が待ち望まれている.