日本小児循環器学会雑誌
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ラット胎仔先天性心疾患の断面像:胎児心エコーのための22q11.2欠失症候群モデル動物図譜として
門間 和夫
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2018 年 34 巻 2 号 p. 55-62

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抄録

Bis-diamineはラットに強力なteratogenで高率にヒト染色体22q11欠失症候群類似の先天性心疾患と胸腺低形成を生じさせるが,作用機序の詳細は不明である.Bis-diamine 200 mgを妊娠10日のラット40匹に胃内注入し,満期21日目に胎仔を全身急速凍結法,凍結ミクロトーム,実体顕微鏡(Wild M400)を用いて0.5 mm毎の胸部横断面を連続写眞で記録した.330胎仔に括弧内の率で次の先天性心疾患が生じた.各種のFallot四徴症(68%),総動脈幹残遺(18%),大動脈弓離断(2%),心室中隔欠損(3%),共通房室弁口(2%)である.Fallot四徴症では通常型(16%),肺動脈弁欠損型(14%),肺動脈弁閉鎖型(38%)があった.これらの心疾患には右側大動脈弓,鎖骨下動脈起始異常,血管輪などが合併した.肺動脈弁欠損のFallot四徴症では左右肺動脈の動脈瘤状の拡張があり,肺門部で気管支を圧迫して閉塞していた.同時に心房心室の拡大,心嚢液の貯留が生じた.共通房室弁口では両心房,両心室の拡大,房室弁の肥厚(異形成),心嚢液貯留があった.ヒトと異なり体肺側副血管はなかった.これらの胎生期先天性心疾患の生体内断面図を染色体22q11.2欠失症候群の胎児心エコーモデル図譜として提示する.

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